第 60 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
教育講演 01 要旨
演題名 「大学における昨今の病理学をめぐる変化」
出題者および所属
岩手医科大学病理学第2講座 増田 友之 先生
症例の概要・問題点
 平成15年7月に日本病理学会主催の「病理学実習」に関するワークショップが開かれました.私も参加しましたが,私は班編制でグループBに配属されていました.説明によるとグループA, Bは「旧態的な病理組織顕微鏡実習を行っている大学」,グループC, D, Eは「先進的な症例を主体とした新しい病理学教育を実践している大学」というカテゴライズでした.我がグループに配属された班員のひとりは最近の病理学実習の紹介を聞いて「顕微鏡を使用しない病理学実習なんてあり得るのですか?驚きました」と素朴で率直な感想を述べていました.説明通りならば,その時点で全国の医学系大学の3/5は「先進的な病理学実習」を行っているわけです.
 それより先の平成13年3月27日に「医学・歯学の在り方に関する調査研究協力者会議」発行の「21世紀における医学・歯学教育の改善法策について・学部教育の再構築のために・」という冊子が全国の医学系大学に配布されました.ここには1.モデル・コア・カリキュラム(通称コアカリ)と2.診療参加型臨床実習の実施のためのガイドライン3.教員の教育業績評価ガイドラインの3項目が記されています.その後,コアカリ内容に沿った共用試験(computer based test; CBT)や客観的臨床能力評価試験(objective structured clinical examination; OSCE)などが全国の医科系大学の「自発的な参加」によってトライアルとして実施されてきました.平成17年度からは正式実施の予定です.CBTは全国の医科系大学の教員が作問し,東京医科歯科大学内に設置されている共用試験センターに送付,ここから中央の委員によるブラッシュアップを経て,全国の医科系大学に配布されて実施されています.
全国的な動きで医学教育,病理学教育が変革の時を迎えています.本講演では現在大学でどのような動きがあり,それにどのように対処しているかを紹介したいと思います.