第 59 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 14 区分 A. 難解・問題症例
部位/臓器 12 膵
演題名 原発性膵腫瘍の2例
出題者および所属
弘前大学医学部病理学第一  水上 浩哉、矢嶋 信久、板橋 智映子、八木橋 操六
独立行政法人国立病院機構弘前病院 病理検査科  松本 一仁
症例の概要・問題点
症例 1
40歳男性。発熱、上腹部痛を主訴に某院受診、入院となる。
膵腫瘤による急性化膿性胆管炎の診断を得、各種画像解析の結果、
膵粘液性嚢胞腺癌が疑われ、膵全摘術が施行された。
摘出標本では膵頭部から体部被膜中心に7.5×8.6×2.0cm、
表面やや分葉状の腫瘍が認められた。割面は淡黄色調、充実性であった、
膵実質、胃壁、腸間膜根部、膵周囲リンパ節に浸潤が認められた。
組織学的には局所的にstoriform patternを示す異型性を伴う
線維芽細胞様細胞と泡沫状細胞の増殖よりなり、Touton型巨細胞も出現していた。
リンパ球等の炎症性細胞の著明な浸潤も伴っていた。
免疫染色ではCD68, vimentinに陽性、筋系、神経系マーカーおよびCD34陰性であった。
症例 2
70歳男性。腹部腫瘤を主訴に某院受診。
精査の結果、胃小弯側に巨大な腫瘤が認められた。
試験開腹術にて、腫瘤と胃との交通は認められず、膵臓原発の腫瘍が考えられた。
術中迅速診断にて悪性間質細胞腫瘍の診断を得て、膵体尾部、
脾臓合併切除術が施行された。摘出標本では膵体部を中心として
8.5×6.2×4.3cmの境界不明瞭な腫瘤が認められた。
組織学的には著明なリンパ球等の炎症性細胞浸潤と共に、核小体明瞭、
大型の核を有する異型紬胞のび漫性浸潤、巨細胞の出現が認められた。
Storiform patternは目立たなかったが、間質の粘液腫様変化、
泡沫細胞の出現が認められた。免疫染色ではCD68,vimentinに陽性、筋系、
神経マーカーおよびCD34陰性であった。

問題点 症例1・2共に膵原発の間葉系腫瘍が考えられたが、その診断について。
最終病理診断 症例1:Inflammatory myofibroblastic tumor 症例2:Malignant fibrous histiocytoma