第 55 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 11
部位/臓器 上顎,下顎
演題名 上顎腫瘍の1例
出題者および所属
中村直哉1,星暢夫2,福田剛明2
桑畑直史3,阿部正文1
福島医大第1病理1,第2病理2,耳鼻咽喉科3
症例の概要・問題点
症例 68歳、女性
68歳時 右鼻閉が出現し、出血性の右鼻腔腫瘍を指摘された。CTにて右上顎洞と右鼻腔内に広がる腫瘍を指摘された。右外頚動脈からの血管造影では上顎動脈の分枝からfeeding arteryがあり、venous phaseで淡い腫瘍影を認めた。腫瘍摘出術を施行され、腫瘍は右上顎洞、右鼻腔内を充満し、上顎洞前壁、外側壁の破壊を伴っていた。
病理診断は良性軟部腫瘍であった(標本?)。

75歳時(2回目。初回手術から7年後):
鼻出血が出現し、右鼻腔内腫瘍を指摘された。
CTにて上顎洞に充満する腫瘍を認め、上顎洞後壁、硬口蓋骨の破壊を認めた。顎動脈からコイルによる塞栓を行った後、腫瘍摘出を行った。高齢のため、拡大切除は行わなかった。病理診断は悪性線維組織球症であった(第3回目の手術標本とほぼ同様の像ですので配布しません)。

76歳時(3回目。初回手術から約8年後、前回手術から8ケ月後):
右頬部皮膚、右上顎洞、右口蓋から一部鼻中隔に及ぶ約6cm大の腫瘍を再発し、放射線40Gyを照射後、再度摘出術を行った(標本?)。

経過 経過中、転移は認められていない。
臨床検査所見 特記すべき事はない。

問題点 1)病理診断。
2)初回手術標本を悪性と出来うるか。
最終病理診断 Malignant fibrous histiocytoma. (MFH)

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