第 60 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 12 区分 B. 典型的・教育的・その他の症例
部位/臓器 気管,肺,胸膜 肺
演題名 若年女性の両側多発肺結節
出題者および所属
遠藤 誠1、田村 元1、柳川直樹1
大泉弘幸2、加藤博久2、本山悌一1
1) 山形大学医学部環境病態統御学講座 人体病理病態学分野
2) 同器官機能統御学講座循環器・呼吸器・小児外科学分野
症例の概要・問題点
症例 20歳、女性
主訴 胸部X線異常影(検診)
既往歴
9歳 脳室腫瘍(subependymal giant cell astrocytoma)にて腫瘍亜全摘術、
1O歳 脳腫瘍再増大し再亜全摘術、結節性硬化症
家族歴 父:肺癌で死亡(50歳)、結節性硬化症
喫煙歴 なし
現病歴
2004. 8月上旬 職場検診の胸部X線写真異常影を指摘。
      8月中旬 某市立病院、呼吸器内科受診。
              CT上両側多発肺結節影、両側腎腫瘍を指摘。
     1O月下旬 山形大学医学部付属病院 呼吸器外科にて胸腔鏡下右肺部分
              切除術施行。
肉眼所見
右S6からの部分切除肺。胸膜面は著変なし。
割面では2.3mmの白色結節と小嚢胞の散在を認めた。
配布標本 右S6からの部分切除肺

問題点 病理診断
最終病理診断
演者診断:Pulmonary lymphangiomyomatosis(LAM) 
           + multiple nodular pneumocyte hyperplasia (MNPH)。
演者コメント 小結節性肺胞上皮過形成は2型肺胞上皮細胞の増殖から成る過誤腫性の結節性病変で,結節性硬化症やリンパ管筋腫症に伴うことが知られている.本症例の結節病変は肺胞が虚脱し異型の乏しい2型肺胞上皮細胞の増生と肺胞中隔の軽度の肥厚を伴う病変であり,結節性肺胞上皮過形成と診断した.小嚢胞病変は結節病変とは独立して散在し,嚢胞壁には平滑筋様細胞が増生しており, SMA・HMB45陽性であることからリンパ管筋腫症と診断した.後の切除生検で腎腫瘍は血管筋脂肪腫と診断された.
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