第 60 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 10 区分 B. 典型的・教育的・その他の症例
部位/臓器 気管,肺,胸膜 肺
演題名 肺真菌症の2例
出題者および所属
長谷川 剛1)、内藤 眞2)
新潟大学大学院 医歯学総合研究科
1) 病理形態学分野
2) 分子細胞病理学分野
症例の概要・問題点
症例 1 66歳、女性
既往歴
35年前に検診で肺の異常陰影を指摘され結核の加療を受けた。
現病歴
7年前から冬になると喀血がみられ、1年前から喀血が増強して入院。
右上・下葉に気管支拡張症の所見と右上葉に結節影を認めた。
喀痰で、Mycobacterium intracellulareおよび真菌を検出した。
治療による病変の改善は認められず、右上葉切除が行われた。
肉眼所見 気管支拡張症とその一部に菌塊を認めた。(配布標本1)
症例 2 27歳、女性。中国からの帰国子女。
家族歴、既往歴 特記すべきことなし。
現病歴
18ヶ月前に認められた血痰が、9ヶ月前に再び出現し受診。
胸部X線写真で腫瘤影を指摘され、胸部CTで肺結核が疑われ入院。
抗結核薬の投与を受け一旦退院したが、腫瘤影の増大を認めて再入院した。
CRP陰性、アスペルギルス抗原陰性で、喀痰培養でも抗酸菌・真菌ともに検出されなかった。
右上肺野の3cm大の空洞病変内部に腫瘤影を認め、
診断と治療を兼ねた右上葉切除が施行された。
肉眼所見 空洞病変内に菌塊を認めた。(配布標本2)

問題点 肺真菌症の診断
最終病理診断 演者診断:肺Scedosporium