第 60 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP
−TN) 抄録データベース |
演題番号 |
09 |
区分 |
B. 典型的・教育的・その他の症例 |
出題者および所属 |
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箱崎道之1) 北條洋1)
阿部正文1) 渡邊一男2)
1) 福島県立医科大学医学部 病理学第一講座
2) 福島県立医科大学医学部 附属病院病理部 |
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症例の概要・問題点 |
症例 |
10歳 男児 |
主訴 |
左殿部痛 腹痛 嘔吐
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家族歴・既往歴 |
特記すべきことなし
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現病歴 |
半月程前より運動時の左殿部痛を自覚していた。
1週間前に転倒して左殿部を打撲した後に腫脹が出現し疼痛も増強した。
様子を見ていたが、症状が軽快しないため当院整形外科を受診し、
左殿部の軟部腫瘍を指摘された。画像検査を予約し帰宅した後に、
腹痛と嘔吐が出現した。翌日当院小児科を受診したところ、
左季肋部の腫瘍を指摘され、消化管の圧迫による腹部症状と診断された。
同日整形外科に入院し、左殿部の腫瘍に対する切開生検を施行された。
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血液生化学所見 |
WBC: 8000, RBC: 378, Hb: 9.8↓, Hct: 303, Plt: 19.9,
AST: 102, ALT: 10, LDH: 2994↑, ALP: 304, T-Bil: 0.4,
BUN: 7.O, Cr: 0.5, Na: 136, K: 4.1, Cl: 94,
Ca: 8.7, CRP: 3.6↑
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画像所見 |
腹部CTでは、左腎門部から後腹膜にかけて巨大な腫瘤(12x9x7cm)が存在し、
左鼠径部(11x7x10cm)・左殿部(9.5x8x5.5cm)の腫瘤と連続していた。
胸部CTでは、左鎖骨上窩にもφ2cmの腫瘤が認められ、リンパ節転移が疑われた。
明かな肺転移は認められなかった。
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配布標本 |
切開生検の組織
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問題点 |
病理組織診断
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最終病理診断 |
演者診断:Alveolar rhabdomyosarcoma, solid variant: retroperitoneum.
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演者コメント |
腫瘍細胞は間質に沿って配列していたが,alveolar patternは取らず,線維性の間質に囲まれたスペースを埋めるようにびまん性に増殖していた.
強拡大では,類円形の核を有し細胞質に乏しい小円形の腫瘍細胞のびまん性増殖が認められた.好酸性の細胞質を有するrhabdomyoblastは確認されなかった.
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画像の説明 |
図1(HE染色,弱拡大)
図2(HE染色,中拡大)
図3(HE染色,強拡大)
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