第 60 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 07 区分 A. 難解・問題症例
部位/臓器 腹膜,後腹膜及び関連組織 腹膜
演題名 腹腔内腫瘍の一例
出題者および所属
長岡赤十宇病院検査部1)、同 病理部2)
薄田 浩幸1)、江村 巌2)
症例の概要・問題点
症例 31歳、女性
既往歴 特記すべき事なし。
臨床経過
下腹部痛が出現し、救急外来を受診、その後の精査にて、腸間膜に腫瘍の存在が疑われた。
開腹にて回盲部に腫瘤が認められ、回盲部を含めて腫瘍切除術が施行された。
術前の検査データに異常は認められなかった。
肉眼所見
回盲部に接する腸間膜に、大きさ13x9.5x8.5cmの境界明瞭、
灰白色、弾性硬な充実性腫瘍が認められた。
腫瘍内に明らかな出血壊死は認められなかった。
腫瘍は一部盲腸と癒着していたが粘膜は保たれていた。
配布標本
切除腫瘍

問題点
病理診断
最終病理診断
演者診断:Intra-abdominal desmoid
演者コメント 腫瘍の主座は腸間膜内.CD34,c-kitは陰性.本例における腫瘍細胞のゆるやかな束状配列を主とした増生パターンやβ-catenin陽性所見はlow grade fibromyxoid sarcomaとの鑑別点となった.
 
画像の説明 図1.盲腸に接し腸間膜に最大13cm大の境界明瞭,灰白色弾性硬な充実性腫瘍を認める.
図2.紡錘形の腫瘍細胞がゆるやかな束状配列をとり増生する.
図3.腫大した核を有する線維芽細胞に類似した腫瘍細胞.
図4.アザン染色.腫瘍は豊富な膠原線維を有し盲腸固有筋層に浸潤像を示す.
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