第 60 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 04 区分 B. 典型的・教育的・その他の症例
部位/臓器 造血器 リンパ節
演題名 頸部腫瘤の1例
出題者および所属
斉藤仁昭1)、前田邦彦1)、田嶋克史2)
山本久史2)、廣島由紀2)、奥平志野2)
渡辺知緒3)、石田晃弘3)、山川光徳1)
1) 山形大学医学部 発達生体防御学講座 病理病態学分野
2) 同 器官病態統御学講座 生命情報内科学分野
3) 同 情報構造統御学講座 耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野
症例の概要・問題点
症例 71歳、男性
主訴 左耳下部腫脹
既往歴 特記事項なし
現病歴
平成16年2月、左耳下部打撲歴あり、以来同部の腫脹を白覚していた。
7月に、同部の腫脹、疼痛が出現し近医で抗生剤およびステロイド剤が処方された
が症状が残存するため、S病院耳鼻科を受診した。
画像診断および穿刺吸引細胞診にて悪性腫瘍を疑われた。
Y病院に転院となり、同院耳鼻科で左耳下腺全摘術および頸部郭清術を施行された。
現症
身長162cm, 体重57kg, 胸腹部に異常所見なし。
左耳下部に2cm大の弾性硬で可動性がやや不良な腫瘤を認めた。
検査
血液所見: WBC 8240/μl, RBC 432x104/μl, Hb 14.0g/dl, Ht 41.5%,
          Plt 24.6xl04/μl, TP 6.7g/dl, Alb 4.4g/dl, T.Bil 0.5mg/dl,
          AST 18 IU, ALT 30 IU, LDH 140 IU, BUN 15mg/dl, Cre 0.68mg/dl,
          Na 143 mEq/l, K 412 mEq/l, Cl 106 mEq/l, CRP 0.1mg/dl以下
画像所見: MRI, CTで左頸部に、胸鎖乳突筋を内側に圧排し皮下に進展する
         約20×25mmの境界明瞭な腫瘤性病変を認めた。
肉眼所見
腫瘤は長径約20mmで白色充実性であった。
配布標本
頸部腫瘤本体

問題点
病理診断
最終病理診断
演者診断:Interdigitating cell sarcoma: cervical lymph node.
演者コメント HE標本では,大型異型細胞の充実性増生からなる腫瘍組織を認めた.偏在核,分葉核,ドーナツ状核等の核異型および細胞質に突起様構造を認めた.免疫染色では,S-100 protein,DC-SIGN,fascin等が陽性で樹状細胞系腫瘍と考えられた.CD1a,CD21およびCD35は陰性でLangerhans cell sarcoma,Langerhans cell histiocytosis,follicular dendritic cell sarcomaは否定的で上記と考えられた.
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