第 58 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 12 区分 A. 難解・問題症例
部位/臓器 骨,関節 関節
演題名 手関節部軟部腫瘍の1例
出題者および所属
1) 仙台市立病院 病理科
2) 東北大学大学院医学研究科病理診断学講座
長沼 廣1), 渋谷 里絵2)
症例の概要・問題点
症例 65歳,男性
主訴 左手関節部腫瘤
家族歴 特記すべき事なし
既往歴 特記すべき事なし
現病歴 約18年前より左手関節腹側に腫瘤があった.徐々に大きくなってきたが,最近
増大傾向があるため,当院整形外科を受診し,本人の希望もあって摘出術を施
行された.
手術所見 腫瘤は境界明瞭で,特に周囲との癒着もなく,容易に摘出された.
肉眼所見 4cmx5cmx4cm大の境界明瞭な腫瘤で,割面は灰白調で,やや粘性を帯びていた.
配布標本 腫瘍

問題点 1)組織診断
2)予後について
組織所見 腫瘍は多数の毛細血管の増殖からなり,間質には単球,紡錘形細胞の増殖を見るが,単一な細胞の増殖は見られない.間質細胞は血管系マーカー陰性で,銀染色でも血管周囲細胞の取り巻き像はない.Ki-67標識率は8-12%であった. 最終病理診断:日本病理学会のコンサルトの結果はhemangiopericytomaで,会場でも同意見が多かったが,典型的なstag horn patternは見られず,演者は血管前駆細胞由来の腫瘍を考えている.
最終病理診断
Angiomatous tumor (bengin) (endothelial progenitor cell tumor?)
(→病理学会コンサルテーションでは,hemangiopericytoma)
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