第 58 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP
−TN) 抄録データベース |
出題者および所属 |
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長岡赤十字病院 病理部1),検査部2)
江村 巌1),薄田 浩幸2) |
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症例の概要・問題点 |
症例 |
78歳,女性 |
既往歴 |
特記すべきことなし. |
現病歴 |
早朝突然急激な腹痛. |
検査所見 |
異常なし |
画像所見 |
腹部血管造影で左胃動脈分枝に1ヶの動脈瘤,左胃大網動脈に3ヶの動脈瘤,その他胃壁近傍に3ヶの小動脈瘤が確認された.左胃動脈は血腫内に入っていた. |
手術所見 |
左胃動脈は破裂し,lesser curvatureに血腫があり,血性腹水300mlを認めた. |
術後経過 |
経過良好で退院したが,6ヶ月後脳出血で死亡された.剖検はできなかった. |
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問題点 |
病理診断,原因. |
病理所見 |
肉眼的に複数の動脈瘤を認めた.組織学的に中膜と外膜の境界部にはフィブリン様物質の析出が見られた.中膜には平滑筋細胞のBallooningや核濃縮等の変性,小出血があり,中膜は所々で溶解していた.さらにこの変化が広がった結果,内,中膜は飛び石状に消失し(図1),残存した組織がmedial islandを形成していた.この内,中膜の融解・消失が動脈瘤の原因と考えられた. Matrixを検討した結果,中膜のType IV collagen(図2)と弾性線維(図3)は溶かされていたが,外膜のType I collagen(図4)は溶かされていなかった.以上からsegmental mediolytic arteritis と診断した. 考案:Segmental mediolytic arteritisの原因は不明であるが,今後matrixの変化を念頭においた検索が必要と考えられた. |
最終病理診断 |
1) segmental mediolytic arteritis,
2) 演者はMMP-9が原因である可能性を指摘したが,必ずしもそれだけで考えるわけにいかず,問題が残った.
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画像1
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画像2
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TypeIV collagen |
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画像3
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画像4
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TypeI collagen |
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