第 57 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 10 区分 典型的・教育的・その他の症例
部位/臓器 気道,肺,胸膜
演題名 肺胞蛋白症の1例
出題者および所属
星サユリ1)、柳沼信久2)、阿部正文1)
1)福島県立医科大学医学部病理学第一講座、2)福島第一病院内科
症例の概要・問題点
症例 91歳、女性
既往歴 平成9年、12年、13年脳梗塞にて入院、平成13年以来全身拘縮が強く寝たきり状態であった。
現病歴 平成14年11月17目より、37.7度の発熱がみられた。一度解熱したが、呼吸状態悪いため、
19日に入院となった。入院時胸部X線にては右全肺野と左下肺野に陰影を認めた。
気管支肺炎の診断にて抗生剤を投与された。12月16日の胸部X線では陰影は改善傾向を
示したが、喀痰からMRSAが検出されたため、1月16目からVCMの投与が開始された。
しかし、呼吸状態は改善せず、いったん改善傾向を見せた胸部X線でも、次第に陰影が
濃度を増し、両肺野に拡大した。
1月29日には下顎呼吸となり、31日永眠した。
剖検時肺所見 肺の重量は、左315g、右430gで、右胸腔には漿液性胸水が650ml貯留していたが、
左胸腔は線維性・線維素性の癒着のために胸水貯留はみられなかった。割面では、
両肺共に含気は少なく、出血やabscessと考えられる小さな白色結節を伴っており、
肉眼的には器質化を伴う気管支肺炎と考えられた。
配布標本 肺右上葉

間題点 病理診断
最終病理診断 Pulmonary alveolar proteinosis
演者は、特発性idiopathicとしたが、経過からは続発性が考えられた。
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