第 57 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 09 区分 典型的・教育的・その他の症例
部位/臓器 気道,肺,胸膜
演題名 肺のLangerhans cell granulomatosis(LCG) (細胞浸潤期)の1例
出題者および所属
岩間憲行1),千場良司1), 高橋 洋2), 佐澤由郎3)
1) 坂総合病院病理科
2) 同呼吸器科
3) 同外科
症例の概要・問題点
患者 40代後半の男性
主訴 職場検診での胸部レ線異常所見
既往歴 右膿胸(3歳),小児端息
喫煙歴 30本/日を20年,10本/日を10年
現病歴 以前から咳嗽はあったが,喫煙のせいと思っていた.某年初夏,職場検診の胸部Xpに
異常所見を指摘され精査となった.当院初診時には,胸部Xp上,肺野にびまん性の粗大な
網状影を認めた.また胸部CTではLCGを疑われた.TBLBでは診断の確定ができなかった.
入院は本人の都合で8ケ月後となり,VATSで右肺S6部分切除が行われた.配布標本は,
この時のものである.
胸部CT(初診時):両側上肺野優勢の気腫性変化が見られた.また両側肺野に結節構造が
多発していた.最大径で2?程度.比較的大きいものは壁が薄い空洞状を呈していた.
肺機能検査(VATS直前):VC 472L(116.1%), FVC 4.62L, FEV1.0 2.93L(62.0%)
血液ガス(VATS直前):pH 7.438, PaCO2 40.2torr, PaO2 74.3torr,
HCO3- 27.1mmol/L, B.E. 3.5mmol/L, SaO2 95.4%

問題点 前回(第56回)の東北支部学術集会において,鎌田 満先生(青森労災病院)が線維化
(stellate fibrosis)が主体のLCG典型例をご紹介くださいました.私どもの症例は,
その前段階の細胞浸潤期が優勢な像に相当すると思われます.
最終病理診断 肺Langerhans cell granulomatosis(LCG)
東北大病理部遠藤先生の代読による発表。
討論は行われなかった。