第 57 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 08 区分 難解・問題症例
部位/臓器 造血器,脾
演題名 脾腫瘍の一例
出題者および所属
鈴木 正通、上杉 憲幸、焦 宇飛、菅井 有、中村 愼一
岩手医大中央臨床検査部臨床病理部門
症例の概要・問題点
症例 41歳男性
主訴 なし
家族歴 特記事項なし
既往歴 35歳時、糖尿病を指摘され、食事療法、運動療法を行った。
39歳時、胆石症を指摘され、今回の手術で胆嚢摘出術も同時に施行した。
臨床経過 平成14年、検診時の腹部CTにて脾の前方部に大きさ5.5x4.5cmのやや
低吸収でsolitaryな腫瘤性病変を指摘された。近医内科を受診し、血管造
影にて、同部位にhypovascularな限局性病変を認めた。その後の経過で同
病変の増大が認められたため、手術目的で八戸日赤病院外科紹介となり、
本年4月脾摘出術が施行された。
肉眼所見 摘出された脾臓では、被膜形成を認めない、境界の比較的明瞭な、大きさ
53x37mmの腫瘤性病変を認めた。割面は暗赤色調均質で、出血を伴っていた。
配布標本 腫瘍摘出標本

問題点 病理組織診断
最終病理診断 演者診断ではinflammatory pseudotumor(inflammatory myofibroblastic
tumor: IMT)であったが、フロアより鍍銀染色の結果が非常に大事であり、
このようなtumorは以前よりsplenoma(hamartoma)と言われているとの意見が
出された。Tumorの内部でのsinusは正常といくらか変わってくるもの、その
パターンについては赤脾・梁柱の構造が認められるとの提言あり。鍍銀染色
の結果を検討に加え、IMTとhamartoma(splenoma)との鑑別を行う必要がある
が、フロアの大部分の意見からはhamartoma most likelyとの結論にしたい。