第 57 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 03 区分 難解・問題症例
部位/臓器 軟部組織,下肢
演題名 右大腿軟部腫瘍の一例
出題者および所属
本田剛久1)、佐藤孝1)、中村眞一2)、西田淳3)、増田友之1)
1) 岩手医科大学第2病理
2) 岩手医科大学臨床病理
3) 岩手医科大学整形外科
症例の概要・問題点
症例 15歳、男性
経過 平成13年9月頃より右下肢に違和感を自覚していたが放置していた。平
成14年2月より右大腿に圧痛やしびれ感も出現するようになり、近医受診し
た。CT、MRIにて右大内転筋、大腿二頭筋、半腱様筋の筋束問に2x3cmの
腫瘤を認めた。神経鞘腫を疑い摘出術を行った(配布標本1)。術後の組織検索
で悪性所見を確認したため広範囲切除術を追加した(配布標本2)。手術標本で
は腫瘤は坐骨神経より発生しており、白色調を呈していた。
配布標本 1 初回摘出標本 2 広範囲切除術標本

問題点 病理組織診断
最終病理診断 悪性末梢神経鞘腫瘍
演者は免疫染色で神経系マーカーが陰性であり、単相性滑膜肉腫との鑑別が
困難と考えている。
組織像は演者の診断名を指示するものである。特に細胞の形態や血管周囲性
の配列は特徴的と考える。
S-100蛋白などの神経系マーカーが陰性でも悪性末梢神経鞘腫瘍の可能性を
否定することにはならない。
座長:座長用に送られた未染標本で、ごく少数のkeratin(AE1/AE3)染色陽性
細胞を散見するが、これも悪性末梢神経鞘腫瘍を否定することにはならない
と考える。