第 56 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 20 区分 A. 難解・問題症例
部位/臓器 皮膚
演題名 Angioimmunoblastic T-cell lymphoma患者に生じた皮膚腫瘤
出題者および所属
八嶋 亜紀子,佐藤 孝,前沢 千早,増田 友之
岩手医大・医学部・第二病理
症例の概要・問題点
症例 67歳,男性.
既往歴,家族歴 特記事項なし.
現病歴 平成14年1月より下肢の浮腫,心嚢液貯溜が出現し,県立病院にて精査中に全身の
リンパ節腫脹を認めた.心嚢液貯溜は利尿薬の投与のみで改善したため,退院.

同年5月に37℃台の発熱と咳嗽を認め,同病院受診.クラミジア肺炎と診断され,
入院した際に縦隔リンパ節の腫大と脾腫,および全身の紅色皮疹を認めた.精査の
ため,紅色皮疹部の皮膚生検,頸部リンパ節生検が施行された.リンパ節は
「Angioimmunoblastic T-cell lymphoma」と診断されたが,皮疹は「悪性リンパ腫
の疑い」であった.さらに精査加療のため本学第三内科入院となり,再度皮膚生検
(添付写真)が施行された.
病理組織および遺伝子解析 真皮全層にわたり,小型・大型の様々な大きさの異型リンパ球が巣状に浸潤,
増生しており,CD20+CD15-の大型異型リンパ球が主体となって増生していた.
CD20+CD15-細胞の一部にはCD30+のものが30%程度を占めていた.
背景の小型から中型異型リンパ球はCD3+CD4+CD5+であった.
皮膚,リンパ節共にsouthern blottingでTCRβの再構成バンドを認め,
IgHはgermlineパターンであった.
配布組織写真 本学にて生検された皮膚病変

問題点 病理診断
最終病理診断 Angioimmunoblastic T-cell lymphomaの皮膚浸潤

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