第 54 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
ワークショップ 03
部位/臓器 神経系,下垂体,松果体,下垂体
演題名 急速に進行した中枢神経症状および下垂体前葉機能低下症を示した症例
出題者および所属
羽生 智映子,和田 龍一,蝦名 義仁*,八木橋 操六
弘前大学医学部第一病理学講座
*津軽保健生活協同組合健生病院臨床病理
症例の概要・問題点
症例 60歳 女性
既往歴および家族歴 特記すべきことなし
現病歴 平成13年8月5日出勤途中に小川に転落したことがあった.その後
次第に着衣失行を認めるようになり近医内科を受診した。この時点での頭
部CTでは明らかな異常所見は認められず、血小板減少を認めたため外来で
の通院加療となった。治療には非協力的で、 9月には過食や失禁、次第に
見当識障害が現れるようになった。精神疾患を疑われ、健生病院精神科に
入院となった。この時点の頭部CT検査で、白質に広範囲にlow density
areaを認めた。10月10月に急激な意識障害をきたしたため内科に転科となっ
た。転科時には白血球数は11,900/mm3で、 血小板は3.3x104/mm3と低下し
ていた。LDHは752IU/Lと上昇していた。腎機能は正常にもかかわらず、低
Na血症および代謝性アシドーシスが持続し、精査の結果、血中甲状腺ホル
モンの低下と血中ACTH, GHの低下があり、下垂体前葉機能の低下を認めた.
11月25日には意識障害がさらに進行し、翌日には大量の嘔吐とともに呼吸
停止、心停止となった。急激に進行した中枢神経症状および下垂体前葉機
能低下症の原因検索のため剖検となった。
剖検の肉眼的所見では、脳は1280gで、左前頭葉の側脳室の前部に境界不
明瞭な軟化巣が見られ、左右後頭葉にも同様の病巣が認められた。下垂体
は1.0gで明らかな腫大は認められなかった。胸腔、腹腔内のリンパ節の腫
大は見られなく、脾梗塞、大腸、胃、子宮に出血が認められた。

問題点 病理診断
最終病理診断 Intravascular large B-cell lymphoma.

配布標本 下垂体