第 56 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 10 区分 B. 典型的・教育的・その他の症例
部位/臓器 口腔,咽頭
演題名 口蓋腫瘍
出題者および所属
伊東 博司、杉浦 淳子、山崎 章
奥羽大学歯学部口腔病理学講座
症例の概要・問題点
症例の概要 83歳、女性。20年位前から口蓋部の腫瘤形成に気づいていたが放置していた。腫瘤の増大を自覚したため某歯科医院を受診したところ、奥羽大学附属病院受診を勧められ、来院した。
附属病院来院時、右側前歯部口蓋から軟口蓋正中部にかけて50×35mm大の腫瘤が形成されていた。多形性腺腫の臨床診断下、生検標本が採取された(配布標本)。患者は附属病院来院時より2ヵ月後に脳梗塞にて死亡した。なお、腫瘍摘出術は行われてはいない。
病理組織学的には、円形ないし類円形の核を有し、細胞境界が不明瞭な腫瘍細胞が、胞巣あるいはシートを形成しつつ増殖する像が観察された。腫瘍細胞はPAS染色(-)、ムチカルミン染色(-)、免疫染色ではケラチン(+++)、S-100(+++)、ビメンチン(++)、α平滑筋アクチン(+)、GFAP(+)であった。

問題点 病理組織診断
最終病理診断 Myoepithelioma (Suspicious of malignant myoepithelioma)

画像1 画像2
腫瘍細胞は胞巣・シートを形成しつつ増殖している。 腫瘍組織は被膜に包まれず(左)、腫瘍細胞の異型性は軽度である(右)。

画像3 画像4
S100蛋白(左)、ビメンチン(右)の免疫染色。 ケラチン(左)、α平滑筋アクチン(右)の免疫染色。