第 56 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 08 区分 A. 難解・問題症例
部位/臓器 気管,肺,胸膜,肺
演題名 肺腫瘍の一例
出題者および所属
矢嶋 信久1)、黒滝 日出一1)、四釜 育与3)、伊藤 博之2)、八木橋 信夫2)、八木橋 操六1)
1) 弘前大学医学部病理学第1講座
2) 黒石市国民健康保険黒石病院外科
3) 黒石市国民健康保険黒石病院臨床検査科
症例の概要・問題点
症例 76歳男性。75歳3ヶ月時に、出血性胃潰瘍で近くの病院に入院。このとき、同室に結核菌排菌者がいたため、退院後も経過観察となる。75歳12ヶ月時、胸部X線写真で右肺腫瘤を指摘された。CT上、腫瘤は右肺中葉S4に存在し、径2.0x1.3cmであった。喀痰では結核菌陰性で、本人精査希望せず、経過観察となった。しかしながら増大傾向が認められ、喀痰細胞診で陽性(squamous cell carcinoma 疑い)となり76歳7ヶ月時、胸腔鏡下右肺中葉部分切除術が行われた(配布標本?)。腫瘍は径2.9x1.8×2.2cmで、胸膜と接していた。肺腫瘍精査中、左顎下部の腫瘤を指摘された。
顎下部腫瘍の穿刺吸引細胞診で陽性とされ、弘前大学医学部附属病院歯科口腔外科紹介。76歳8ヶ月時、左顎下腫瘍の生検が行われた。手術適応として、76歳10ヶ月時、左顎下部腫瘍摘出術・頸部リンパ節郭清施行(配布標本?)。4.5x3.5x2.5cmで、割面では灰白色分葉状、弾性硬であった。
既往 69歳頃、左顎下部腫瘍を自覚し、弘前大学医学部附属病院耳鼻咽喉科受診し、摘出をすすめられたが放置していた経緯がある。
血液・生化学 ほぼ正常範囲内 (T-Bil, UA軽度上昇)
腫瘍マーカー CEA8.1ng/ml(<5), SCC低値
配布標本 ?肺腫瘍、?顎下部腫瘍

問題点 病理組織診断、肺腫瘍・顎下部腫瘍の関連
最終病理診断 Salivary glandに関してadenoid cystic carcinomaとepithelial-myoepithelial carcinomaとの鑑別が困難で結果出ず。Lungに関しては転移。

画像1 画像2
腫瘍[1](肺腫瘍)の像と上皮の2相性(右上) 腫瘍[2](左顎下部腫瘍)の像と上皮の2相性(右上)

画像3
腫瘍[1][2]におけるCAM5.2およびα-SMA