第 56 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 05 区分 B. 典型的・教育的・その他の症例
部位/臓器 気管,肺,胸膜 胸膜
演題名 慢性肉芽腫性胸膜炎の一例
出題者および所属
和田 龍一、板橋 智映子、中山 義人、八木橋 操六
弘前大学医学部 病理学第一講座
症例の概要・問題点
症例 59歳、男性
主訴 胸水貯留
現病歴 数年前よりたびたび胸水の貯留と胸膜炎を繰り返し、抗生剤
の投与、胸腔ドレナージによる治療が行われていた。外来で経過観察
されていたが、胸膜の肥厚が著しく、再び胸水の貯留が認められたた
めに入院となった。入院時の末梢血の白血球数は 9070/mm3で、血液
像はSeg 84.3%,Eosino 2.6%,Baso O.2%,Mono 5.2%,Lymph 7.7%で
あった。CRPは 3.99mg/dl(<0.3)と上昇していた。ツベルクリン反応
は陰性であった。胸水のヒアルロン酸値は59400ng/ml(<50)と著明に上
昇し、ADAも58.0IU/L(5.2-18.6)と上昇していた。細胞診では反応性の
中皮細胞と炎症性細胞が見られたが、悪性を思わせる細胞の出現は認
められなかった。胸水の細菌培養では起炎菌と思われる細菌は分離同
定されなかった。外科にて胸膜剥離術および胸腔ドレナージが施行さ
れ、病理検査に供された。術前より患者は頭痛を訴えていたが、術後
のCTおよぴMRIにて脳膿瘍を思わせる所見が認められた。

問題点 1. 臨床病理学的診断
2. 治療方針
最終病理診断 Granulomatous pleuritis due to nocardia

配布標本 切除胸膜
J Clin Pathol 2003;56:966-969
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