第 51 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 16
部位/臓器 肺,胸膜 肺
演題名 新生児気胸の1例
出題者および所属
福島県立医科大学病理学第一講座
小野伸高、北條 洋、阿部正文
症例の概要・問題点
症例 K.T. 生後9日、女児
家族歴 特記すべきことなし
母親33歳、1妊1産、妊娠歴に特記すべきことなし

現病歴 2000年2月1日、在胎38週1目で出生(体重2896g)。Apgar score 9→9。心奇形(-)。
生後3日目より哺乳力が緩慢となり、tachypnea(48回/分)、口唇周囲のcyanosis
が出現した。胸部X-Pで右気胸を認めたため、ベニューラ針で約500ml脱気し、さ
らに持続吸引を開始したが、右肺の拡張が悪く、2月9日に当大学第一外科に入院
となった。

Tro-car tubeを留置するもドレナージ不良で右肺の拡張不良がみられたためICU
で呼吸管理を行っていたが、画像上、右胸腔内のfree air spceの増大を認めた
ため、2月10日右肺上中葉切除術を行った。術後の経過は良好である。

手術所見 右肺上中葉は胸壁と癒着し、上葉の側面から縦隔側、中葉の側面と上葉との葉間
面は黄色を呈していた。上葉の縦隔側に多数の嚢胞があり、air leakを認めた。
中葉の葉間面からもair leakが認められ、漏れた空気の貯留により形成されたと
考えられる腔が壁側胸膜・肺・心膜間にみられた。


問題点 気胸の原因を肺の梗塞様壊死と考えたが、この壊死の原因、およびリンパ管拡張
症との関係をどう考えるか。

最終病理診断 先天的な右肺静脈の閉塞性病変

配布標本 右肺 ?上葉、?中葉