第 51 回 日本病理学会東北支部学術集会(JSP −TN) 抄録データベース
演題番号 18
部位/臓器 縦隔,胸腺
演題名 診断に苦慮した後縦隔腫瘍の一例
出題者および所属
新潟大学医学部第2病理
江部佑輔、長谷川剛、内藤 眞
症例の概要・問題点
症例 79歳、男性
既往歴 高血圧、心房細動、白内障
現病歴 平成10年10月、検診で胸部X線上異常陰影を指摘され某病院受診。胸部CTで後縦隔に腫瘍を認め、CTガイド下経皮針生検が行われたが、神経性腫瘍の診断で良悪を含め診断確定は困難であった。患者は加療を希望せず、約1年放置された。 平成11年10月、労作時呼吸困難が出現し某総含病院受診。胸部CTで後縦隔腫瘍の増大を認め、心臓への圧迫所見もみられた。CTガイド下経皮針生検を行ったが、神経系腫瘍の疑いで良悪を含め診断の確定はなされなかった。 平成12年3月、症状改善のための手術目的に西新潟中央病院に転院。CTでは後縦隔・右横隔膜上に26 x 15 cm大の分葉状腫瘤が認められ、縦隔の大動脈・上大静脈や右肺動脈および心嚢などを取り囲んで進展していた。局所麻酔下に開胸生検施行(診断の確定困難)。さらに右開胸下に可及的に分葉状の腫瘍の切除が行われた。
腫瘍所見 最大径11.5cm大までの球状腫瘤が全部で7個切除された。いずれも表面を胸膜が被い、剥離面は周囲との境界がほぼ明瞭であった。割面は黄白色調で筋腫様・myxoidで、出血や壊死は認められなかった。 組織学的にはやや多型性を示す紡錘形細胞の増殖パターンの特徴に乏しい増生を認め、分裂像は1・5/10HPFであった。また、周囲結合織に浸潤していた。 免疫組織化学的には、ほとんどの腫瘍細胞がVimentin(+)、bcl-2(+)を示し、一部の細胞でα1-antitrypsin、α1-antichymotrypsinが陽性、また細胞成分の高い局所でDesmin、CAM5.2が陽性であったが、筋系マーカー(HHF35,SMA)、神経系マーカー(S-100、GFAP)、CD34、EMAなどはいずれも陰性であった。

問題点 組織診断
最終病理診断 Malignant solitary fibrous tumor.